抄録
前報において,ナフテン酸銅及びナフテン酸亜鉛の超微粒子水分散型乳化剤が加圧注入用木材防腐・防蟻剤として実用可能であることを報告した。
本報では,ナフテン酸銅及びナフテン酸亜鉛の超微粒子水分散型乳化剤が表面処理剤,特に浸せき処理剤としての実用化の可能性について検討した。
試験は,JWPA規格に基づく表面処理剤としての性能試験及び浸せき処理試験について行った。
結果の要約は以下の通りである。
1.表面処理剤としての防腐効力,防蟻効力,鉄腐食性,吸湿性及び2年間の野外防蟻効力性能は,供試濃度の範囲ではJWPA規格の基準値に適合した。
2.浸せき処理試験の結果,防腐・防蟻性能を示すに必要な処理量が得られた。また,本実験では浸せき時間の管理により,広い範囲の有効成分量を有した処理材を得ることができた。
以上の結果より,本薬剤が表面処理用木材防腐・防蟻剤として使用可能であることがわかった。