木材学会誌
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一般論文
温湿度による含水率変化が伝統的ホゾ-込み栓接合部の接触応力度に及ぼす影響(第1報)
込み栓打ち込み及び接合部の乾燥が柱木口ー土台間の接触応力に及ぼす影響
鄭 基浩黄 権煥小松 幸平
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2006 年 52 巻 1 号 p. 44-49

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抄録

伝統的木造接合部における応力伝達機構を理解するための一連の研究の最初の一歩として,ホゾ接合部の接触表面に発生する接触応力に注目した。
接合部における接触応力の変化に及ぼす乾燥収縮の影響をより正確に測定するため,柱の木口面と土台の側面の接触界面に小型ロードセルを接触させることで,接触応力を連続的に測定できる方法を開発した。
込み栓には,伝統的に使われるシラカシ込み栓と,部材の乾燥による影響を減らす事によって接触応力の緩和が少ないと期待できるスギ圧縮木材で造った込み栓の2種類を用いた。込み栓穴の嵌合こう差2mmによる込み栓打ち込み効果は,込み栓の曲げ,せん断及び摩擦によって女木側が男木側を引き込み,接触応力を高めるメカニズムが解明できた。
RH40%乾燥条件におけるシラカシ込み栓接合部は,150日で重量が10%減少,女木側全体寸法が2% 減少し,初期(3 MPa) の14%(1.1 MPa)の接触応力を保った。また,スギ圧縮木材込み栓においては,シラカシと同じ重量と寸法変化を伴い,初期状態の24%(1.5 MPa)の接触応力を維持し,シラカシより接触応力の減少率が相対的に少なかった。これによって,更なる湿度変化による圧縮木材の応力緩和防止効果も期待できる。

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© 2006 一般社団法人 日本木材学会
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