抄録
症例は57歳,女性.主訴は口渇.1995(平成7)年より高血圧,高脂血症で外来通院中.2002(平成14)年10月の健診でFPG 220 mg/dlを指摘され,精査目的で受診した.普段から毎朝4単位程度の果物を摂取していたが,加えてみかんを10個から15個程度連日摂取していた.外来受診時には空腹時血糖値が198 mg/dlであったが,尿中ケトン体は陽性で,ケトーシスを伴った2型糖尿病と診断した.果物の大量摂取がケトーシスを伴う糖尿病の原因となった報告は極めて少ない.みかんはショ糖が多いことや水分の含有量が多いなどの特徴があるため,ソフトドリンクケトーシスと類似した機序でケトーシスを呈したものと考えられる.果物過剰摂取によって発症したケトーシスを合併した2型糖尿病の特徴を明らかにすることは非常に重要であると考えて報告する.