抄録
水分非平衡状態における木材の微細構造について知見を得るため,アカマツ切片に対して,湿度変化過程におけるin situでのX線回折および示差走査熱量(DSC)の同時測定,および熱重量(TG)による含水率変化測定を行った。試験片の含水率変化は湿度変化に追従したことを確認したが,熱流の変化は湿度変化終了後も継続した。一方,セルロース結晶の(200)面および非晶領域のピーク位置は吸湿にともない高角度側に移動したが,放湿過程における(200)面の低角度側への移動は時間的遅れが存在した。また,放湿による相対結晶化度の低下にも同様の遅れが見られた。これらの結果より,マクロな物理特性である含水率が平衡状態にあったとしても,微細構造は非平衡状態であり,水分変化に対して追従できない状態にあると考えられた。