木材学会誌
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一般論文
Dalbergia latifolia 心材の生物活性抽出成分
関根 伸浩芦谷 竜矢村山 哲也荻山 紘一高橋 孝悦
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2009 年 55 巻 1 号 p. 29-36

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抄録
D. latifolia心材抽出物のヤマトシロアリ,木材腐朽菌,カビに対する生物活性を検討し,活性成分の質と量とを関連させて考察した。心材ヘキサン抽出物は顕著な殺蟻・摂食阻害活性と木材腐朽菌に対する抗菌活性が認められ,主要成分であるネオフラボノイドのlatifolin,dalbergiphenol,4-methoxydalbergioneを活性成分として単離・同定した。その3成分の中では,含有量はlatifolinが最も高く,続いて 4-methoxydalbergione,dalbergiphenolの順となった。生物活性においては,Latifolinは高い殺蟻・摂食阻害活性とカワラタケ(Trametes versicolor)に対する高い抗菌活性が認められた。Dalbergiphenolはシロアリへの摂食阻害活性,オオウズラタケ(Fomitopusis palustris),Rhizopus oryzaeCladosporium cladosporioidesに対する高い抗菌活性が認められた。4-Methoxydalbergioneは摂食阻害活性とカワラタケに対する抗菌活性が認められた。成分の構造を比較するとB環オルト位の水酸基の有無およびA環のキノン構造の存在が生物活性発現の特異性に影響を及ぼしていた。このように,D. latifoliaは心材抽出成分の多様化およびネオフラボノイドの部分構造の変化によって生物に対する多様な防御作用を生み出していると推測された。
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© 2009 一般社団法人 日本木材学会
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