抄録
九州の代表的な挿し木品種であるアヤスギは根株腐朽被害が極めて大きく,ヤブクグリ,メアサ,ヤナセスギでは比較的少ない。これらの材を比較した結果,後3者においてメタノール抽出物量が比較的多く,ノルリグナンの構成が大きく異なることが明らかとなった。実際に根株腐朽木より単離された腐朽菌を用いた抗菌性試験の結果,メタノール抽出物,特にセクイリン-Cなどのノルリグナンによる菌糸生長阻害が認められた。すなわち,ヤブクグリ,メアサ,ヤナセスギなどの根株腐朽率が低いのは,これらの3樹種において,抗菌作用を持つ,アガサレジノールおよびセクイリン-Cなどのノルリグナン類の含有量が,アヤスギより高いことが主要な原因であると強く示唆される。