木材学会誌
Online ISSN : 1880-7577
Print ISSN : 0021-4795
ISSN-L : 0021-4795
一般論文
スギ根株腐朽病と心材ノルリグナン組成との関係
大谷 慶人野口 琢郎市浦 英明
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 55 巻 2 号 p. 92-100

詳細
抄録
九州の代表的な挿し木品種であるアヤスギは根株腐朽被害が極めて大きく,ヤブクグリ,メアサ,ヤナセスギでは比較的少ない。これらの材を比較した結果,後3者においてメタノール抽出物量が比較的多く,ノルリグナンの構成が大きく異なることが明らかとなった。実際に根株腐朽木より単離された腐朽菌を用いた抗菌性試験の結果,メタノール抽出物,特にセクイリン-Cなどのノルリグナンによる菌糸生長阻害が認められた。すなわち,ヤブクグリ,メアサ,ヤナセスギなどの根株腐朽率が低いのは,これらの3樹種において,抗菌作用を持つ,アガサレジノールおよびセクイリン-Cなどのノルリグナン類の含有量が,アヤスギより高いことが主要な原因であると強く示唆される。
著者関連情報
© 2009 一般社団法人 日本木材学会
前の記事 次の記事
feedback
Top