抄録
水性高分子-イソシアネート接着剤(以下API)の耐熱性向上を図るため,粘土鉱物の一種であるモンモリロナイトをAPIのベースポリマーとして広く利用されているポリビニルアルコール(以下PVA)に添加し,そのフィルム物性や木材接着性能の検討を行った。モンモリロナイトをPVA水溶液に添加・撹拌した際の粘度の経時変化を測定するとともに,モンモリロナイトを添加したPVAフィルムを作製し,X線回折,動的粘弾性の測定および木材接着性能試験を行なった。その結果,モンモリロナイト添加PVA水溶液の粘度は,撹拌時間の増加に伴い増加した。また,X線回折によりモンモリロナイトの層間隔の広がりが確認され,撹拌によりPVAとの相互作用が増大したことが示唆された。一方,高温度域での貯蔵弾性率が未添加系に比べ10倍程度高い値を示した。木材接着試験においても高温度域での接着性能が大きくなり,耐熱性の向上が明らかとなった。