抄録
スギ材によるシイタケ菌床栽培技術を確立するために,スギ培地を用いた品種開発を進めた。その結果,スギ材に適応力の高い菌株としてHS807を作出した。HS807を接種したスギ培地による菌床栽培で広葉樹適応株である北研600号と比較して6倍の収量を得た。しかしながら,これらの収量は広葉樹材による菌床栽培における収量の 1/2 程度であった。スギ材適応品種として選抜したHS807の培養特性を評価するために,物理的および化学的な分析を行った。その結果,菌床培地中の菌体量はコナラ培地と比較してスギ培地で少ない傾向が認められた。培養時における菌床培地中の菌体量は,子実体発生を判定する重要な因子であると考えられる。