本研究では,スギ角材およびスギ合板等で構成された3層構造壁材の音響透過損失をJIS A 1416,JIS A 1419-1により計測・評価し,在来工法での壁材と比較した。結果は以下のとおりである。(1)今回開発した3層構造壁は在来工法壁に比べ全周波数帯域で高い空気音遮断性能が見られた。(2)3層構造壁は2000 Hzから4000 Hz帯域にかけてコインシデンス効果が現れにくかった。(3)3層構造壁は二重壁で懸念されるコンセント穴よる空気音遮断性能の低減は殆ど認められず,中心板の空気音遮断効果が確認できた。(4)RCコンクリート壁,ALC壁の片面あるいは両面にGLボンドを用いた二重あるいは三重壁においては,200 Hzから400 Hz帯域に共鳴透過による著しい遮音欠損が発生するが,今回開発したすべての3層壁材は,共鳴透過による遮音欠損は小さかった。
本研究では,スギ角材およびスギ合板等を用い,フローリングと270 mmのサンドイッチパネルで構成される3層床構造の床衝撃音レベルをJIS A 1418-1,JIS A 1418-2,およびJIS A 1419-2により計測・評価し,在来工法で作られた床構造と比較した。結果を纏めると以下のとおりである。(1)3層床構造の軽量および重量床衝撃音遮断性能は在来工法床構造よりも優れていた。(2)上部空気層をゴムで支持した3層床構造はさらに軽量床衝撃音遮断性能が高かった。(3)桁材間隔を433.5 mmから289 mmに狭くした場合,曲げ剛性が増加し重量床衝撃音遮断性能は向上した。(4)桁材間隔が433.5 mmの床構造にCFRPプレートを貼り付けると,重量床衝撃音遮断性能は向上したが,桁材間隔が289 mmに狭くした場合ではCFRPプレートを貼り付けても曲げ剛性が増加しないため,重量床衝撃音遮断性能は向上しなかった。