横打撃共振法によるスギ立木の心材色の推定を試みた。本法は樹幹直径Dと打撃された樹幹の振動の共振周波数Frの積DFrを診断の指標としている。DFrが低いと心材含水率Mcは高くなり,Mcが高いと心材の明度L*は低くなる,それゆえDFrが低いとL*は低くなる可能性がある─という仮定に基づいて推定を行った。本法によって700本を測定し,うち70本を伐採し心材色を調査した。伐採木のDとDFrの回帰直線に対する各個体のDFrの増減率R(%)を算出し,RをL*を推定する指標とした。その結果,RとMc(r=0.71)およびMcとL*(r=0.70)に負の相関が,RとL*に正の相関(r=0.53)が認められた。RとL*の相関係数は高くなかったが,Rによって心材の明度L*を3階級にグループ分けすることが可能であった。そして,間伐施業において本法による心材色を推定する意義について考察した。