2014 年 60 巻 1 号 p. 41-47
ヒノキ正角実大材(10.5cm角)の背割り深さ(材面の幅に対して30及び50%)及び荷重面に対する方向が,座屈,曲げ及びせん断性能に及ぼす影響を調査した。座屈性能,曲げヤング係数及び静的曲げ試験における比例限度比は,背割りの有無の間で有意な差は認められなかった。一方,背割りが荷重面の反対に存在する場合,曲げ強度は,いずれの背割り深さにおいても有意に低下する傾向が認められた。また,逆対称4点荷重法により求めたせん断強度は,背割り面が荷重面と直交する場合に大きく低下した。しかしながら,曲げ強度及びせん断強度は,背割り深さが50%までであれば,建設省告示第1452号に示すヒノキ無等級材の基準強度を満たしていた。座屈強度は,全ての試験体において,日本建築学会木質構造設計規準に基づき,ヒノキ無等級材の圧縮基準強度を用いて算出した座屈強度値を上回った。