木酢液類の用途拡大を目的として,悪臭原因物質の削減効果,言い換えれば消臭効果の実験を行い,化学的視点から考察した。本研究で用いたのはナラ,ウバメガシ,モウソウチクの製炭時に得られる3種類の木酢液類である。便宜上,順に黒炭木酢液,白炭木酢液,竹酢液と呼ぶ。消臭試験は,アンモニア,トリメチルアミン,硫化水素,メチルメルカプタン,アセトアルデヒドの5つの悪臭原因物質を対象として行った。塩基性物質であるアンモニア及びトリメチルアミンは,いずれの木酢液類によってもデシケータ中濃度が顕著に減少した。イオウ化合物である硫化水素とメチルメルカプタンについては,黒炭木酢液及び竹酢液では濃度減少はほとんど認められなかったが,白炭木酢液については24時間後に30%程度の削減効果が確認できた。また,すべての木酢液類から相当量のアセトアルデヒドが放散されていることが明らかになった。