木材学会誌
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総説
樹木精油成分による空気質の改善
大平 辰朗
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2015 年 61 巻 3 号 p. 226-231

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抄録
我々の生活環境には多種類の環境汚染物質が存在しており,それらが原因で引き起こされる疾病が問題になっている。そのためそれらの除去法の開発が急務となっている。これらの対策として樹木の香り成分(精油)を空気中に放散する方法が期待されている。精油にはアンモニア等の悪臭物質の除去活性の高いヒノキ葉油,環境汚染物質の一種であるホルムアルデヒドの除去機能の高いスギの葉油などが見出されている。最近の研究では二酸化窒素を極めて効果的に除去するトドマツ葉油等が見いだされ,それらの除去活性物質としてmyrcene,β-phellandrene,γ-terpineneなどが特定され,さらにはその除去機構として,粒径1000 nm以上の粒子状物質を生成し,二酸化窒素を無害化していることがわかっている。香り成分にはリラックス効果等も見出されていることから,その利用により総合的な空気質の改善が期待できる。
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© 2015 一般社団法人 日本木材学会
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