植物ペルオキシダーゼは,大きな遺伝子ファミリーを形成しており,大部分が細胞壁に局在することが知られている。しかし,細胞壁におけるそれらの機能については不明な点が多い。植物ペルオキシダーゼの中にはフェノール類に対する酸化酵素としてだけでなく,活性酸素種の発生源としても機能するものが存在する。さらに近年の生化学的な研究によって,木化に関与する植物ペルオキシダーゼのもつ特徴的な基質酸化能力が明らかとなった。したがって,植物ペルオキシダーゼは反応特性の面でもそれぞれ差別化されており,相応の役割を細胞壁で果たしていると考えられる。