2016 年 62 巻 4 号 p. 101-107
大スパン床における静的および振動性状を測定することを目的に,4つの木造校舎および2つの木造事務所の床を測定対象として,静的たわみおよび振動の実測を行い,曲げ剛性ならびに固有振動数,減衰比の算定を行った。設計上の床の初期たわみはスパンの約1/430~1/1100,クリープを考慮した床のたわみはスパンの約1/280~1/800であり,1つの小学校を除いていずれもたわみ制限値を下回っていた。また,梁または平行弦トラスの曲げ剛性の実験値は設計値より1.1~3.9倍大きかった。さらに,実際の建築物における床の1次固有振動数の実測値は9.5~12Hzであり,荷重を固定荷重とし,単純支持を境界条件として計算した梁の固有振動数は床の固有振動数の実験値よりも10~30%小さかったが,比較的精度よく推定できることがわかった。なお,減衰比は3.1~6.5%で,既往の研究と同じような値となっていた。