木材学会誌
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カテゴリーII
ベッコウタケ接種に対する生立木樹幹二次木部の反応
上田 幹朗堀 千明玉井 裕山岸 祐介宮本 敏澄佐野 雄三
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2018 年 64 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

ベッコウタケ(以下同菌)に感染する頻度が高いと報告されているハリエンジュ,エゾヤマザクラ,同じく低いとされるハルニレ,アカエゾマツの各立木樹幹の地際部と胸高部に同菌を接種し,菌糸の蔓延状況や材組織で生じる反応を比較した。接種孔付近の材組織には,ハリエンジュ,ハルニレでは濃い変色と水分の集積,アカエゾマツでは淡色化と脱水など,樹種毎に特徴的な変化が生じたが,地上高による違いは見られなかった。接種した菌はハリエンジュ,エゾヤマザクラの地際部からのみ検出された。菌糸による細胞壁の分解も両種の地際接種部の変色材では認められた。接種孔近傍の材組織において,アカエゾマツでは樹脂の堆積,他の広葉樹3種では細胞閉塞物の堆積が観察された。以上から,同菌に対する抵抗性は樹種間,地上高間で異なると言える。また,同菌に対する抵抗性と水分集積などの材組織で生じる反応との間に明確な関連性はないと考えられる。

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© 2018 一般社団法人 日本木材学会
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