木材学会誌
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カテゴリーII
7種類の接着剤で作製したスギ集成材の屋外暴露試験(第2報)
部位別の劣化
柳川 靖夫 原田 充祥
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2018 年 64 巻 1 号 p. 10-16

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抄録

3種類のレゾルシノール系樹脂接着剤(RF),3種類の水性高分子-イソシアネート系木材接着剤(API),および変性酢酸ビニルエマルション接着剤(VAE)を使用し,5プライのスギ集成材を作製した後に木材保存剤(ACQ)を加圧注入した。接着層を水平とし,木口面を東西に向けて10年間の屋外暴露試験に供した。暴露1年後,3年後,5年後,および10年後に試験片を採取し,せん断強度および木部破断率の変化を試験片の採取位置別(南側,中間,および北側)および接着層別に調べた。その結果,採取位置別のせん断強度残存率は,中央,北側,南側,の順に低下し,せん断強度の低下率も南側が大きい傾向が認められた。接着層別のせん断強度残存率は,上部の第1および第2接着層の方が下部の第3および第4接着層よりも低く,またせん断強度の低下率は,上部接着層は下部接着層より大きく,このことは,接着耐久性の低いVAEで顕著であった。木部破断率は,VAEの暴露10年の第1接着層で低下したものの,他の接着剤では, 暴露年数にかかわらず採取位置間および接着層間の差は小さかった。

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© 2018 一般社団法人 日本木材学会
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