2022 年 68 巻 2 号 p. 77-87
5層5プライのカラマツおよびトドマツCLTについて,平成12年建設省告示第1446号に定められる3つの使用環境(乾燥環境,断続湿潤環境,常時湿潤環境)を想定した種々の促進劣化処理(煮沸法1回および2回,減圧加圧法1回および2回,加熱冷却法6回)を行い,面外せん断強度試験により強度残存率を求めた。その結果,各使用環境における強度残存率は乾燥環境で約90%,断続湿潤環境で約80%,常時湿潤環境で約60%となった。また,せん断試験体と長さ方向にマッチングさせた剝離試験片により,同様の促進劣化処理後に接着層の剝離率を算出した。強度の減少率に比べて剝離率は大幅に低い値を示した。このことから,接着層に近接する木部の劣化がせん断強度の低下に影響を与えている可能性が示唆された。