2022 年 68 巻 4 号 p. 154-164
冬季の寒冷地における屋内環境のような低湿度環境での使用を想定し,過乾燥処理を行った直交集成板 (Cross Laminated Timber,以下CLT)について,面外および面内せん断強度試験を実施した。併せて,平成12年建設省告示第1446号に規定されている促進劣化処理 (煮沸法) を行ったCLTについても同様にせん断強度試験を実施し,強度低下の度合いを比較した。CLTはカラマツおよびトドマツCLTとし,面外せん断試験体は5層5プライ,面内せん断試験体は3層3プライのCLTを対象とした。試験の結果, (1) 面外せん断強度は,過乾燥処理による強度の低下はみられず,煮沸処理において1割程度低下すること, (2) 面内せん断強度は,過乾燥処理で2~3割,煮沸処理で2~4割程度低下すること, (3) 外観的な劣化状況と強度低下との間に関係性はみられないことが示された。