国主導のもと,「縦割り」の制度や「支え手」「受け手」という関係を超え,住民同士で地域をともに創っていくという地域共生社会が目指されている.その実践例として,富山県を中心に数を増やす富山型デイサービスーー年齢や障害属性を区別することなく日中の生活を支援している民間の通所事業所ーーが注目されている.しかし実際は,「支え手」「受け手」が協働することは容易いことではない.にもかかわらず,そうした関わりを築くうえでの葛藤についてはこれまで十分に語られてこなかった.
そこで,本稿は富山型デイサービスを名乗る「デイケアハウスにぎやか」(以下,にぎやか)を事例に,職員と利用者の喧嘩も含む〈ともに生きる〉という場のありように着目した.にぎやかでは,既存の福祉サービスから排除されてしまうような人たちを受け止めるため,長い時間をかけながら集まる人々と関係を模索し,時には喧嘩もやむを得ないとするような――〈ともに生きる〉――という場を築いていた.こうしたにぎやかの営みから,本稿は,地域共生社会の具現化を目指すうえでは,協働を目指すのみではなく,喧嘩しても関係が持続することを可能とするような場のあり方こそ目を向けるべきであると主張した.