2016 年 34 巻 3 号 p. 25-39
個人情報等の可用性と個人情報・プライバシー保護をバランスさせる新たなビジネスモデル構築という視点に立ち、パーソナライズド・サービスを巡る産業政策についてデータに基づく客観的な議論に資するため、2010 年にわが国では初めてとなる、消費者のサービス利用意向とデータ開示意向に関する大規模なWeb アンケート調査を実施した。本稿は、先行研究で触れられることの無かったプライバシー懸念の多様性に着目し、プライバシー懸念がサービス利用意向にどのような影響を与えているかを詳細に分析した。その結果、利用者が有するプライバシー懸念の中身によってサービス利用意向に与える影響度合いが異なることを含め、先行研究では見られなかった新たな知見を見出し、懸念の種類ごとに異なる事業者対応や政策対応が必要となるなどの示唆が得られた。