2024 年 21 巻 p. 13-29
社会政策が家族主義的であるか否かにかかわらず,ほとんどすべての社会で家族は人びとの生活を保障する,人びとにとってもっとも身近で重要な共同体であり続けている.近年の家族研究によって明らかにされてきた家族の変化はどのような新たな研究課題を福祉社会学に突き付けているのだろうか.2000年以降の家族研究は社会階層による子どものライフコース格差を明らかにし,そうした格差がひとり親,貧困・低所得といった要因によって生じることを明らかにしてきた.しかし,ここにきて日本では出産退職の減少に伴う大卒共働きカップルが増加しており,豊かな層がより豊かになる形で格差が拡大し始めている.こうした新たな格差は男女共同参画やワークバランス推進の意図せざる結果として促進された側面がある.社会政策の意図せざる結果に注目し,その分析を行っていくことに福祉社会学研究の課題と存在意義があると本研究は考える.