福祉社会学研究
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┃特集論文Ⅰ┃福祉社会学の課題と展望――学会設立20年に寄せて
福祉社会学におけるケア研究
臨床研究と政策研究の架橋
森川 美絵
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2024 年 21 巻 p. 31-49

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抄録

本稿では,福祉社会学におけるケア研究のあり方について,臨床研究と政策研究の関係性や社会変動とのかかわりに着目して議論する.前半では,福祉社会学の対象としてのケアの位置づけられ方や,福祉社会学の特徴をふまえたケア研究について,『福祉社会学研究』の特集等に掲載された「福祉社会学の対象とあり方,課題」にかかわる議論を参照して整理する.そのうえで,ケア研究の課題として,ケアの実践・臨床にかかわる研究とケアの政策研究をつなぐ作業が不十分であること,そのことが実務的な政策立案の場における研究知見の活用を難しくしていることを指摘する.  後半では,社会変動を考慮にいれた議論の重要性を確認し,テクノロジーの進化という社会変動にかかわり,今後のケア研究で扱うべき研究テーマについて具体例を示す.政府が現在推進している「科学的介護」政策がケア実践にもたらしうるリスクを指摘し,そうしたリスクへの対抗的視点を持つ研究の一つとして,「科学的根拠に基づくケアの多次元化」を志向した研究があることを示す.また,その研究例として,筆者らが取り組んでいるケア評価尺度の開発と応用に向けた研究を紹介し,これらが,臨床場面のケアの現象学的理論化とケア政策研究とを架橋する試みでもあることを論じる.最後に,「科学的介護」時代の福祉社会学的なケア論とケア政策研究の関係,両者の架橋についてあらためて整理し,本稿のまとめとする.

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