副田義也氏の長きにわたる研究経歴とその間に残された仕事の概況を整理することを通じて,次世代の私たちが何を学びうるか,何を学ぶべきであるか,本稿では試論的な展開を試みる. まず,研究の承継という観点で一般的に考えた場合の視点の設定を,研究者間関係,次世代に伝わりうるもの,研究成果の読まれ方に関しておこなう.次に,氏の多岐にわたる研究領域を,a.生活・福祉領域,b.文化・社会意識領域,c.政治・歴史領域の3 領域に分けて概括し,そのなかで特に生活・福祉領域で提起された観点として,a.生活構造論,b.老年社会学,c.扶養,d.社会問題の社会学,e.政治社会学としての福祉社会学などについて論ずる. そして,氏がなされた研究のなかの主な特徴として,立場間のフットワーク,理論への立ち位置,当事者合理性への共感と距離にふれる.それらの特徴の背景に氏の経歴も関連していようから,それへの知識社会学的検討を,時代性,自己表現,底流と岐路という観点からおこなうこととする.最後に,書くことの職人的実践者として,氏が伝えようとしたことについて付記する.