福祉社会学研究
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Print ISSN : 1349-3337
┃特集論文┃地域を生きる/地域と生きる――排除を前にして何ができるか
認知症とともに地域で生きることについて考える
排除と包摂の二項対立を超えて
浮ヶ谷 幸代
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2026 年 23 巻 p. 87-106

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抄録

本稿の目的は,包摂と排除という視点から認知症とともに地域で生きることを考えることである.まず,これまでの日本の国家政策としての「認知症フレンドリーコミュニティ(DFC)」についてまとめ,これらの政策が国内のローカルな地域でどのように機能するのか検討する.次に北海道えりも町に暮らす認知症の女性を取り上げ,彼女がさまざまな困難を抱えることで別の地域の高齢者施設に入居するプロセスについて詳細に描き出す.その際に町の行政や警察と小規模多機能居宅介護施設いろりのスタッフとの相互関係に注目する.いろりの場合,浦河町の精神医療の歴史から学んだ「当事者主体」を応用する.また,地域社会からの批判に対して,浦河の精神医療のやり方を応用するだけではなく,地元の寺院と住職による協力や学校関係者との連携など,地域社会の既存のネットワークを活かしながら認知症者が病気とともに生きていく地域社会を模索する.重要なことは,早期に高齢者と対話を繰り返し,その「思い」を聴き取りながら,これから何をしたいか,最期をどこでどのように迎えたいかをともに考える社会を構想することである.結論として,排除と包摂という事象は単純に分けられない.排除と包摂は,国家政策,地域社会や文化と重なり合いながら,認知症をめぐる関係性のなかに現れることから,排除と包摂の二項対立を超えた視座を模索することである.

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