福祉社会学研究
Online ISSN : 2186-6562
Print ISSN : 1349-3337
特集 介護労働のグローバル化と介護の社会化
介護保険制度と介護の「社会化」「再家族化」
藤崎 宏子
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2009 年 6 巻 p. 41-57

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抄録

「介護の社会化」を標榜してスタートした介護保険制度も,早10年目を迎えた本稿では,訪問介護サービスに焦点を当て,この間に日本の介護政策と介護現場にどのような変化が生じたのか,またその変化は「介護の社会化」の実現に寄与したのか, という点につき考察をした.はじめに,各種政策文書などを資料として,訪問介護のあり方をめぐる争点を,高齢者介護における家族と社会サービスの責任分担という観点から検討した.その結果,本制度のスタート当初から訪問介護,なかでも生活援助サービスの利用にはさまざまな規制がかけられこの傾向は2005年度の法改正を経ていっそう強化されていることを確認した.次いで, 2001年度以降の訪問介護の利用動向を統計データで追うことにより,前述の傾向を再確認することができた.とりわけ近年における高齢者の在宅介護は「介護の再家族化」とも表現すべき傾向を顕著に示している.生活援助サービスの場合,利用者の居宅において訪問介護員が調理や掃除などの日常生活上のサービス提供をおこなうという状況がまさに介護における家族と社会サービスの責任分担のあり方を問うという,古典的ともいえる問題を提起する.生活援助サービスに対する過剰ともいえる抑制は,政策立案者たちの,高齢者介護における家族責任の後退と,それが「モラルハザード」を引き起こすことへの強い危機感を表しているものと推測される.

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© 2009 福祉社会学会
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