この論考の目的は,地域福祉政策実践にモースの贈与論とダールの規模
論の視角を援用することによって,実践類型ごとにふさわしい実践の適正
規模がそれぞれ存在することを実証しようとするものである.
まず,現在の地域福祉実践を読み解くための理論的枠組みとして,モー
スの贈与類型とダールの規模論を援用することの適切性について検討する.次に3つに分類した贈与類型の典型例として3地域の地域福祉実践を
検討し類型へのあてはめを行う.さらに,各贈与類型にふさわしい適正規
模がいかなるものであるかの検討を,ダール規模論が示す基準に基づいて
行う.
以上の検討によって①地域福祉実践は,贈与論の視角に基づく3類型に
よっで区分することが可能であること,②この3類型にダールの規模論の
視角を援用すると,各類型にふさわしい規模が想定できることの2点を明
らかにする.
さらに以上の知見を展開して,各贈与類型を基盤としている福祉実践は,
実は適正規模が異なる他の類型の福祉実践と親和的であることを論じる.
そして当該親和性の発見が,類型と規模が異なる複数の福祉実践を,一つ
の社会内部において重層的に適用する道を聞く可能性を持つものであるこ
とを論じ, この研究が,規模と社会福祉実践との関係を問うパイロット研
究となる可能性に言及する.