福祉社会学研究
Online ISSN : 2186-6562
Print ISSN : 1349-3337
福祉ネットワークの形成条件
愛知県知多半島を中心とした福祉NPOのネットワークを事例として
廣瀬 まり
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2004 年 2004 巻 1 号 p. 169-188

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抄録
本稿の目的は,非営利組織のリーダー層の福祉活動における主体性と,団体アイデンティティの恒常的な模索とが,福祉ネットワークの形成の促進要因となりうることを明らかにすることである.それを検討するために,愛知県知多半島のNPOの福祉ネットワーク形成の事例を取り上げる.知多半島(5市5町)は,事業体として成功しっつある福祉NPOの多さと,同地域のほとんどの福祉NPOを結ぶネットワークの存在,そしてその結節点としての中間支援系NPO「サポートちた」の存在によって,現在注目されている地域である.同地域の諸団体の多くは,1990年代から“住民互助型”福祉団体として活動してきた.“住民互助型”団体には,活動の確固としたモデルが存在せず,しかも知多半島の“住民互助型”団体に対する行政や地域自治会等からの支援は少なかった.そのため諸団体のリーダー達は,常に団体活動の方向性(団体アイデンティティ)に不安を抱くこととなり,このことが諸団体の連携を促進した.
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