福祉社会学研究
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障害者の自己決定とボランティア/NPOによる支援
佐藤 恵
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2004 年 2004 巻 1 号 p. 189-208

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抄録
本稿は,阪神大震災直後に,被災障害者支援のボランティア・グループとして発足し,現在に至るまで,障害者の自己決定をサポートし,「支え合い」を実現していこうとする被災地障害者センターの活動を事例研究し,「内発的義務」に端を発する自己決定支援が二者関係から三者関係としての社会的広がりを示すまでの過程に関する相互行為論的考察を行う.センターの支援においては,困難ケースであっても当事者との関係を「切らない」.トラブルが発生したとしても,それは当事者と支援者が相互の異質性を認め合い,「鍛え合う」ことを通して,対等な関係を形成する契機と解釈される.自己決定を支えるに当たっては,生活目標や生活様式自体の当事者による決定を尊重し,また,制度・ルール・マニュアルによる規制を必然視しない「隙間の発見」という技法をとることで,管理への転化を防止する.センターは当事者との関係を「切らない」のと同時に,「抱え込まない」ことを心がけるが,そうした「抱え込まない」技法とは,個人の解決能力の限界性を自覚しつつ,障害当事者一支援者の二者関係を,第三者としての他支援者に向けて開き,多様な支援者間の補完性に基づいて,三者関係における支援を実践する技法である.そしてその技法は,個人レベルだけでなく組織レベルにおいても発揮され,支援グループ間のネットワーキングと,それを通した「市民の共感」の獲得が志向されるのである.
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