抄録
摩擦攪拌接合における高融点材料での研究はいくつかの研究グループで精力的に進められているが,実用化には未だ至っていない。実用化のための課題は数多くあるが,本研究ではその課題の中でも接合速度1m/min以上,およびその時に得られた接合部の継手効率100%の達成を目標とした。本研究では,継手特性に及ぼす入熱の影響を調べるために,接合ツールの回転速度は一定とし,接合速度を種々変化させて実験を行った。その結果,ツール回転速度600rpmで最大接合速度1m/minでの接合に成功した。接合速度1m/min以下での継手の引張強さは母材の継手強度を超える接合が可能となった。これらは一般的に使用されているSUS鋼のMIG溶接の接合速度と比較して2倍以上であり,その継手の引張強さも安定して向上することができた。本研究で明らかとなった新開発は,実験的に初めて報告したものである。これらの研究の工業的意義は重大なものと予想できる。これから新たな技術の進展が期待できる。