水道協会雑誌
Online ISSN : 2435-8673
Print ISSN : 0371-0785
「報文」
LC/MS/MSを用いた水道水中のエストロゲンの分析
今井 美江宇田川 富男
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 72 巻 1 号 p. 12-20

詳細
抄録

天然の女性ホルモンである4種のエストロゲン(エストロン、17a —エストラジオール、17β- エストラジオール、エストリオール)、及び経口避妊薬等の成分であるエチニルエストラジオールにつ いて、高速液体クロマトグラフータンデム質量分析計(LC/MS/MS)を用いた同時分析法の検討を行っ た。複数の安定同位体標識物質をサロゲートとして使用し、固相抽出で5,000倍濃縮を行うことで、LC /MS/MS法により、エストロンは1 ng/l、その他のエストロゲンは2 ng/lまで定量可能となった。本方 法を用いて、水系別に東京都の7浄水場の原水、浄水中のエストロゲンを測定したところ、冬季に1地 点の浄水場原水からエストロンが検出されたが(1.1ng/l)、その他の物質及び地点では全て不検出であ った。塩素処理によるエストロゲンの挙動を確認するため、水道水を用いたエストロゲン(それぞれ10 ng/l) の塩素接触試験を行ったところ、接触後30分には5物質とも定量下限値未満に低減した。

著者関連情報
© 2003 本論文著者
前の記事 次の記事
feedback
Top