抄録
三次元蛍光分析は、水中の溶存有機物質(以下DOM)の実態を感度よく迅速に把握できることから、水源から給水栓水に至るまで、様々な水質管理に活用可能と考えられる。淀川水系のうち桂川では下水処理場放流水からのタンパク質様ピークを有する蛍光負荷が大きいことがわかり、浄水処理過程にて分解・除去される蛍光物質は、塩素系トリハロメタン生成能(以下THMFP)の減少と相関があることが分かった。また、粒状活性炭(以下GAC)処理水の蛍光強度値はGAC の適切な品質管理の指標の一つとして活用可能であると考えられ、オゾン接触池の蛍光強度除去率は、オゾン処理性評価の指標として活用することが可能であった。さらに、三次元蛍光分析を用いることで、水質事故による異常の有無及び影響範囲を迅速に判断することが可能であった。