抄録
水道水のおいしさに影響する異臭味の被害は大きな課題であり、東京都水道局では独自の取り組みとして、水道水中のかび臭原因物質である2-MIB に関して、3ng/L 未満とすることを掲げている。水質が良好な多摩川上流域でも高濃度の2-MIB が検出されており、粉末活性炭注入で対応している。そこで、微粉末活性炭の適用による確実かつ効果的な除去を行うため、沈澱水中の微粉末活性炭の残存量と中間塩素処理による2-MIB の再放出の関係を調査するとともに、PAC と高塩基度PAC に加え、高分子凝集剤の併用条件における凝集沈澱実験を行った。これにより、2-MIB の再放出を抑制し、目標水質を確保するための微粉末活性炭の注入率及び凝集沈澱処理条件を確立することができた。