水道協会雑誌
Online ISSN : 2435-8673
Print ISSN : 0371-0785
「総説」
水道水中のカルキ臭の生成と制御に関する最新の動向
小坂 浩司越後 信哉松下 拓今井 美江清宮 佳幸庭山 秀一
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2023 年 92 巻 3 号 p. 19-32

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抄録

本稿では、カルキ臭原因物質として、トリクロラミンと有機クロラミンを採り上げ、これらの特性、分 析方法、実態、生成特性、低減方法について、最新の知見を取りまとめた。また、カルキ臭前駆物質についても 整理した。トリクロラミンは遊離塩素と一部の含窒素化合物との反応により、有機クロラミンは、遊離塩素や無 機クロラミンと一部の含窒素化合物との反応により生成する。トリクロラミンの前駆物質としては、アンモニア やアミンやアミノ酸等が知られ、アミンやアミノ酸等は有機クロラミンの前駆物質でもある。トリクロラミンや 有機クロラミンは、比色法や滴定法の他、質量分析法等により分析されている。カルキ臭の評価は、官能試験に より行われているが、新たな指標として総揮発性窒素も提案されている。トリクロラミンや有機クロラミンは水 道水中から、それらの前駆物質は水道原水からの存在状況が調査されている。カルキ臭原因物質や前駆物質の低 減方法として、塩素処理条件、活性炭処理、紫外線処理、オゾン処理、イオン交換処理が検討されている。

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© 2023 本論文著者
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