山階鳥類学雑誌
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短報
クロツグミのさえずりにおけるホィッスルおよびトリルのレパートリーサイズと雄の配偶成功との関係
石塚 徹
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2009 年 40 巻 2 号 p. 83-89

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抄録

さえずりのレパートリーと繁殖成功の関係はこれまでさまざまな種で調べられている。さえずりの構造上異なる部分がそれぞれ異なる機能を果たす例や,異なる性選択圧のもとで進化したことを示唆する例もある。クロツグミのさえずりはホィッスル部とトリル部からなる。本研究では,ホィッスルのレパートリーサイズとトリルのレパートリーサイズに相関のないことを明らかにし,それぞれが異なる選択圧のもとで進化してきた可能性を示唆した。また,それぞれのレパートリーサイズが年齢とともに増大しないことを明らかにした。さらに,それぞれのレパートリーサイズの大小が配偶ステータスと関係するかどうかを調べた。それによると,ホィッスルのレパートリーサイズは配偶ステータスに無関係だが,トリルのレパートリーサイズは一夫二妻雄が一夫一妻雄よりも有意に大きかった。この結果は,ホィッスルとトリルの機能が同じではないことを示唆する。また,複雑なトリルが異性間の性選択圧により発達してきたことを主張する先行研究に合致するものである。

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© 2009 公益財団法人 山階鳥類研究所
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