由井・島田(2013)は風車への鳥の衝突数推定のために,Band et al. (2007)モデルを改良した球体モデルを報告した。しかし,風力発電計画地内の鳥の飛行密度は一様分布ではないので,区画法を用いて風力発電計画地内の小区画ごとの衝突数を推定する方法を新たに開発した。正方形区画と円形区画の平均通過距離を理論的に求め,鳥ごとに一定期間内の区画通過回数を乗ずることにより,各区画の飛行距離が計算できる。推定飛行距離を95%信頼限界で±20%の誤差範囲に抑えるには抽出率20%程度の調査が必要で,小区画当たり正方形区で14本以上,円形区で6本以上の観察数が必要になる。各区画の飛行距離が求まれば,球体モデルにより区画ごとに鳥種ごとの衝突数が推定できる。球体モデルは鳥が風車の衝突危険域内を直線飛行することを前提にしているが,今回の解析で旋回飛行や曲線飛行の場合にも球体モデル及び区画法が適用できることを明らかにした。旋回飛行や曲線飛行の場合,旋回半径20 m以下を除いて直線飛行の場合と比べて衝突数の差は少なかった。小型猛禽類で旋回半径20 mの場合,衝突数は直線飛行に比べて1.3倍多くなった。旋回飛行時の飛行速度が遅くなる場合,衝突数は速度低下に反比例して多くなる。