2019年4月5日,世界最大のカンムリウミスズメSynthliboramphus wumizusumeの繁殖地である宮崎県枇榔島付近の3島(小枇榔,ナカバエ,セツリバエ)において,本種の営巣調査が実施された.小枇榔での本種の繁殖は,1960年代初期までは知られていたものの,1994年以降,調査は行われておらず繁殖も確認されてこなかった.4月5日に小枇榔で確認されたものは,抱卵個体が確認された巣が5巣と,卵のみが確認された2巣であった.潜在的な営巣地を保有するセツリバエでは,カンムリウミスズメの繁殖の証拠を確認することはできなかった.おそらく,本土からの陸生の哺乳類の侵入がカンムリウミスズメの繁殖を妨げているのであろう.ナカバエには,カンムリウミスズメの営巣に適した場所は見当たらなかった.