山階鳥類研究所研究報告
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鳥類系統分類学の未来像
Ernst Mayr
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1989 年 21 巻 2 号 p. 154-164

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抄録

鳥類系統分類学の未来像は多くの分野に存在する。多型種polytypic speciesの個体群構造に関するより正確な情報が必要である。それは,どの亜種と亜種が傾斜的clinallyに互に移行し,またどの亜種が狭い交雑地帯で合しているか,そしてどれが十分隔離されているかなどである。種のうちどの位の割合が単型種monotypicであるか。これらの違いがそれらの種の生態で説明されるだろうか。それに答えるものとして,いまのところ分子形質(核DNA,ミトコンドリアDNA,酵素遺伝子など)の膨大な情報量の利用が始まったばかりである。これらの形質は,現在認められているよりも遙かに良い鳥類の分類を構成するために必要な情報を提供してくれるだろう。これにより新しい型の形態的研究が可能になる。それは,種が類似性を得た過程や原始構造とどのように補償が成立ったかを,見いだすという生態学的相似性"ecological analogues"の比較である。何故にある鳥類の科や目は種が多く,その他では少ないかを結論づけるには,このように生態学的分析が必要なのである。また,化石学はとかく等閑視される分野であり,鳥類の化石を発見するには新しい方法が必要であろう。化石は鳥類の類縁系統や昔の分布に関する疑問に答えるため緊急に必要だからである。博物館での研究も,将来,種ごとの個体群の長期研究によって補足せねばならない。

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