山階鳥類研究所研究報告
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鳥類の分子分類学
その過去,現在,未来
Charles G. Sibley
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1989 年 21 巻 2 号 p. 175-177

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抄録

山階芳麿博士は,近代遺伝学が転期を迎え,生物の類縁検定に染色体や蛋白質が用いられ始めた1900年初頭に生れ,染色体を分類に適用した主要な学者の一人となった。そして血清学,核型,電気泳動法,比色計が鳥類分類学に採用され,改良され,今や酵素が個体群,種,属の比較に広く用いられている。
1953年にはDNAの構造が,1962年にはDNA-DNA hybridization法が開発され,Sibley他(1982,1983,1988)が鳥類の系統分類の再検討に用い,技術的に改善されつつある。一方DNAの核酸配列の決定手法が1970年代に開発され,進化的変化のより速いミトコンドリアDNA(mtDNA)の酵素分析法によって近縁種や種内個体群間の比較が可能となった。また,"polymerase chain reaction法"(PCR)によりDNAの一部を増幅したり,"DNA fingerprinting"法でDNAの高変化部分を用いたりすることにより,鳥類個体群中の個体間の遺伝関係も分析できるようになった(Burke他1989)。鳥学ではDNA配列の研究はまだ少なく,短い配列では決定的結果は期待できないが,5~10万規模の配列なら多くの問題が解決されよう。そして,人を含めて,さらに大規模な研究の技術改善により,将来,分子進化と系統の研究の発展に貢献できるだろう。

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