抄録
鋼橋の新たな防食技術として,腐食耐久性の高い材料で鋼桁下面を覆う多機能防食デッキが適用されている.多機能防食デッキの設計に用いられる風荷重は,風の流れが類似している建築物外装材のピーク外圧係数を用いて設定されており,風洞試験でもその妥当性が概ね確認されている.しかし,風上側のデッキ端部の剥離渦で生じる負圧の分布特性について実橋形状での検討は行われておらず,特に,台風時に多機能防食デッキの風圧を計測した事例もない.そこで本研究では,台風下において多機能防食デッキに作用する風圧分布特性を明らかにすることを目的に,実物試験橋において台風通過時の風圧計測を行った.その結果,設計で想定する風荷重分布とは異なる風圧分布特性を確認した.