化学と生物
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解説
植物病害に対する微生物農薬の研究開発における課題と展望
吉田 重信對馬 誠也
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2013 年 51 巻 8 号 p. 541-547

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抄録
植物病原微生物に対し抗生・寄生・溶菌・競合などの機能をもつ微生物を利用した植物病害の防除は生物的防除(バイオコントロール)と呼ばれ,そうした働きをもつ微生物のいくつかは実際に微生物農薬(本稿では,微生物殺菌剤のことを指す)として上市され,生産現場で利用されている.生物的防除は環境保全型農業の実現やIPM(総合的病害虫・雑草管理:Integrated Pest Management)の推進に役立つ防除法であるため,微生物農薬は今後さらに普及されることが期待される.しかしながら,これまでに生物的防除については多くの研究例があるにもかかわらず,微生物農薬として商品化までに至ったものは少なく,微生物農薬の開発や利用拡大には技術上あるいは普及上の問題点や課題が見えてきている.本稿では,植物病害に対する微生物農薬の開発の現状とともに,研究開発上の課題と今後の展開方向について概説する.
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© 2013 by Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
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