化学と生物
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51 巻, 8 号
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巻頭言
今日の話題
解説
  • トリコプレイン・オーロラAキナーゼ経路
    猪子 誠人, 稲垣 昌樹
    2013 年 51 巻 8 号 p. 524-533
    発行日: 2013/08/01
    公開日: 2014/08/01
    ジャーナル フリー
    一次線毛(primary cilia)は細胞膜上に生じる小さな不動性の突起物である.しかし一次線毛には細胞増殖を休止させる作用があり,増殖中はつとめてその組立が抑えられていることが培養細胞実験からわかってきた.この新たな仕組みの一つが,われわれの報告したトリコプレイン・オーロラAキナーゼ経路である.さらに一次線毛は,細胞種によっては多彩な機能をもつ.本稿では,一次線毛による新たな細胞増殖制御機構に重点を置きつつ,これまでの関連事項についても概説する.
  • 白山 昌樹
    2013 年 51 巻 8 号 p. 534-540
    発行日: 2013/08/01
    公開日: 2014/08/01
    ジャーナル フリー
    小分子 RNA (small RNA) と呼ばれる非コードRNAは,標的RNAを検索することでRNA干渉 (RNAi) において中心的な役割を担う.しかしながら,これまでの研究から,小分子RNAのもつ役割はRNA干渉にとどまらず,ヒトを含む多くの生物で, 個体の発生や分化,がん化などの多彩な生命現象 に密接に関与していることが明らかとなってきた.ここでは,小分子RNAが「非自己」RNAを認識する仕組みについて最新の知見を交えながら解説する.
  • 吉田 重信, 對馬 誠也
    2013 年 51 巻 8 号 p. 541-547
    発行日: 2013/08/01
    公開日: 2014/08/01
    ジャーナル フリー
    植物病原微生物に対し抗生・寄生・溶菌・競合などの機能をもつ微生物を利用した植物病害の防除は生物的防除(バイオコントロール)と呼ばれ,そうした働きをもつ微生物のいくつかは実際に微生物農薬(本稿では,微生物殺菌剤のことを指す)として上市され,生産現場で利用されている.生物的防除は環境保全型農業の実現やIPM(総合的病害虫・雑草管理:Integrated Pest Management)の推進に役立つ防除法であるため,微生物農薬は今後さらに普及されることが期待される.しかしながら,これまでに生物的防除については多くの研究例があるにもかかわらず,微生物農薬として商品化までに至ったものは少なく,微生物農薬の開発や利用拡大には技術上あるいは普及上の問題点や課題が見えてきている.本稿では,植物病害に対する微生物農薬の開発の現状とともに,研究開発上の課題と今後の展開方向について概説する.
  • 宮崎 亮
    2013 年 51 巻 8 号 p. 548-553
    発行日: 2013/08/01
    公開日: 2014/08/01
    ジャーナル フリー
    近年のゲノム解析技術の進展によってマイクロアレイやRNA-seq法が登場し,生命現象にかかわる遺伝子発現をゲノムワイドに解析することが可能となった.一方で,同一のゲノムを有するクローン細胞集団を同じ環境下で培養したとしても,個々の細胞レベルではmRNAやタンパク質の分子数は不均一であり,この確率論的な遺伝子発現のばらつき(ノイズ)が,それぞれの細胞の個性的な挙動を生み出していると考えられる.筆者らは,細菌細胞をモデルとして用い,分子遺伝学的手法,トランスクリプトミクス,単一細胞レベルでの遺伝子発現解析を駆使して,細胞のストレス応答を制御するシグマ因子の発現ノイズが,原核生物特有の遺伝能力,すなわち遺伝子水平伝播を誘起していることを明らかにした.さらに,細胞内における当該因子の量的変動に依存して,一部の細胞が遺伝子伝達に特化した細胞へ形態分化し,最終的には新規のプログラム細胞死によって死滅することが明らかとなった.
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追悼
羅針盤
農芸化学@High School
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