化学と生物
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解説
ヒカリカモメガイ由来の発光タンパク質(フォラシン)
小さな発見に至るまでの長い道のり
久世 雅樹
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2014 年 52 巻 3 号 p. 166-171

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抄録

ヒカリカモメガイの発光器には発光タンパク質(フォラシン)があり,活性酸素種 (ROS) の刺激により青色に発光する.フォラシンはROS検出キットとして市販されているにもかかわらず,発光に関与しているクロモフォア(発光を司る化学構造)の構造は不明であった.そのため,フォラシンの遺伝子発現はすでに達成されていたが,クロモフォアを構成することができず発光させることは不可能であった.筆者らはトビイカの発光基質であるデヒドロセレンテラジンがフォラシンの基質であることを突き止めた.本稿では,ヒカリカモメガイの科学研究における長い歴史の紹介と,フォラシンの基質を特定するに至った経緯について紹介する.

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© 2014 by Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
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