化学と生物
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解説
酵母に見いだした新規な抗酸化酵素「N-アセチルトランスフェラーゼMpr1」
高木 博史那須野 亮
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2015 年 53 巻 3 号 p. 148-155

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抄録

微生物から高等生物まで広く存在する「N-アセチルトランスフェラーゼ」は,さまざまな基質をアセチル化することで,多くの重要な細胞機能の制御に関与している.筆者らは,環状の二級アミンであるプロリンアナログ(L-アゼチジン-2-カルボン酸,シス-4-ヒドロキシ-L-プロリン)を基質とする新規のN-アセチルトランスフェラーゼMpr1を酵母Saccharomyces cerevisiaeに見いだした.また,Mpr1がアルギニン合成を亢進することで一酸化窒素の生成を誘導し,酵母の酸化ストレス耐性に寄与する新しいタイプの「抗酸化酵素」であることを明らかにした.さらに,X線結晶構造解析により,Mpr1のユニークな立体構造と反応機構の解明にも成功した.本稿では,Mpr1の分子構造と生理的役割について概説する.また,Mpr1の酵素特性や生理機能に基づく応用研究の成果も紹介する.

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© 2015 by Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
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