化学と生物
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解説
ポリフェノール,化学反応を基盤とする機能性物質
抗酸化反応から成分間反応まで
本田 沙理増田 俊哉
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2015 年 53 巻 7 号 p. 442-448

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抄録

植物は,その生合成経路からさまざまなフェノール成分を蓄積している.それらは植物にとって,たとえばファイトアレキシンのような生物活性を有する物質として古くから研究対象になってきた.一方で,植物性食品におけるフェノール成分は,渋みやえぐみの原因物質とされ,それほど有用な物質とは考えられてこなかったが,フェノール成分が示す多様な機能が徐々に明らかになるにつれて,食品の重要な健康成分として認識されるようになった.今では,5大栄養素と食物繊維についで,第7栄養素といわれることもあり,その化学構造からポリフェノールという名称も定着した.ポリフェノールは,その構造的特徴から生体機能分子であるタンパク質などとの相互作用が起き,食品中のみならず生体系においてもさまざまな機能を発現する.なお,このような従来型の機能発現機構に加え,ポリフェノールの化学反応性の高さに由来する機能があり,これがポリフェノールの特徴ともいえる.本解説では,ポリフェノールの化学反応を基盤にした機能に焦点を当てる.

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© 2015 by Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
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