化学と生物
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解説
ビフィズス菌ゲノムサイエンスの現状と課題
堀米 綾子小田巻 俊孝
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2016 年 54 巻 4 号 p. 260-265

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抄録

1899年にTissier博士により健康な母乳栄養児の糞便から初めて分離されたビフィズス菌は,乳幼児の健康を守る微生物として注目され,多くの研究からヒトの健康維持に大きく寄与することが明らかにされてきた.その結果,現在はプロバイオティクスとしてヨーグルトやサプリメントなどの食品や,医薬品に幅広く利用され,多くの人々にとって身近なものとなっている.ところが,乳幼児の腸管内にビフィズス菌が最優勢に棲息する理由や,ビフィズス菌のもつさまざまな生理機能の詳細なメカニズムについてなど不明な点も多く残されている.本稿では,近年のゲノム解析を通じて詳細が明らかにされつつあるビフィズス菌の進化や棲息環境適応機構などについて紹介し,今後の課題についても論じたい.

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© 2016 by Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
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