化学と生物
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解説
昆虫–細菌共生研究の現状と農学・薬学・医学への応用可能性
昆虫の中の「共生」を理解し,利用しよう!
藤原 亜希子𡈽田 努
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2018 年 56 巻 8 号 p. 541-549

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抄録

既知生物種の過半数を占める昆虫類は,種数・個体数ともに最大のグループであり,生物多様性の根幹を担う存在である.この多様性進化の原動力の一つが,細菌との共生関係である.昆虫の生存や繁殖能力,体色,食性などのさまざまな性質に対して,共生細菌が多大な影響を与えている例がこれまでに多数報告されている.昆虫体内で独自の進化を遂げた共生機構は,学術的に興味深い現象であるとともに,応用分野への発展も期待される(1).本稿では,共生細菌の殺虫剤効果への影響,共生細菌が作る生理活性物質,Wolbachiaを用いた応用研究例,加えて現在私たちが取り組んでいる共生機構を標的とした害虫防除法の開発について紹介し,今後の共生研究の応用可能性について述べる.

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© 2018 公益社団法人日本農芸化学会
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