2019 年 57 巻 2 号 p. 115-120
味覚は,食物を摂食可能であるかを決定するうえで重要な化学感覚である.味は甘味,旨味,苦味,酸味,塩味の五基本味からなり,それぞれの味は口腔中の味蕾に発現する受容体タンパク質により受容される(1).近年20年の間に,味覚受容体分子とその関連分子が次々と明らかになり,培養細胞を用いた機能解析技術により味物質の探索や味覚受容の分子メカニズムの解明が行われてきた.本稿では味覚受容体の機能解析技術に関する解説と,私たちヒトを含む動物の食性(食べ物の種類や食べ方)と味覚受容体のかかわりについて紹介したい.