化学と生物
Online ISSN : 1883-6852
Print ISSN : 0453-073X
ISSN-L : 0453-073X
解説
アミノ酸生合成機構とその調節機構の多様性
鍵酵素の制御機構から生合成経路の進化まで
吉田 彩子
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 58 巻 4 号 p. 240-247

詳細
抄録

微生物のもつ多彩な機能を利用して,多くの有用物質生産に微生物による発酵法が用いられている.そのなかでもグルタミン酸発酵を発端としてわが国が主動的な役割を果たしたアミノ酸発酵技術の発展により,ほとんどのアミノ酸の微生物による生産法が確立されている.発酵生産技術の開発過程で,さまざまなアミノ酸の生合成経路やその代謝制御機構の存在が明らかとなり,代謝制御発酵が進んだ一方で,生合成機構や調節機構の詳細はあまり明らかにされてこなかった.筆者らはこれまで構造生物学的手法などを用いて,リジン生合成の鍵酵素の活性調節機構を明らかにしてきた.本稿ではリジンをはじめとするアミノ酸の生合成機構やその進化,生合成酵素の調節機構について,筆者らが行った研究を中心に紹介する.

著者関連情報
© 2020 公益社団法人日本農芸化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top