2021 年 59 巻 11 号 p. 549-555
抗菌・ウイルス不活能をはじめとする「薬理機能」とプラスチックのような「易加工性」を備えた「メディシナルプラスチック」(略「メディプラ」)は,ウィズコロナ時代の新基軸材料として期待される.パンデミック終息後の新世界(ポストコロナ社会)では,二酸化炭素(CO2)の排出削減・海洋プラスチック汚染等への対策強化が求められる.現代は「公衆衛生と環境問題」の板ばさみの渦中にあり,産業回復の見通しは不透明,世界経済は既に重大かつ不可逆的な退縮局面に入ったとの予測もある.本著は,抗菌性と生分解性の両立を可能にする稀有のバイオ超分子新素材「ポリγグルタミン酸イオンコンプレックス(PGAIC)」に焦点をあてる.